灰色畑 I – 歌詞



国道12号

なんてちっぽけな僕だ
ぜんぜん勇気がないんだ
なんてちっぽけな僕だ
弱い人間なんだ
ロックンロールを歌うから
みんなは僕が嫌いで
流行りの歌を歌うから
あいつは人気者だ

なんてちっぽけな僕だ
誰も僕なんて見ちゃいない
なんてちっぽけな僕だ
中途半端なやつだ
ロックンロールを歌うから
みんが僕を笑った
流行りの歌を歌うから
あいつは人気者だ

言いたいことも言えずに
やりたいこともやれずに
人のせいにしてみたら
安心しちゃうのなんでなんだ

国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる
国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる


ああもう嫌になるね
こんな所なんていたくない
どこかに旅に出たい
この道の終わりを見てみたい

なんてちっぽけな僕だ
ぜんぜん勇気がないんだ
なんてちっぽけな僕だ
弱い人間なんだ
ロックンロールを歌うから
みんなは僕が嫌いで
流行りの歌を歌うから
あいつは人気者だ

ぶっ潰してやりたい
何も握ってすらいない
本当はぜんぶわかってるよ
こんな自分が一番大嫌いだ

国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる
国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる

国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる
国道12号で
死ね!死ね!って叫んでる

腐った魚の匂いのする部屋で

腐った魚の匂いのする部屋で
国語の教科書を読んでいた
勉強が好きになることを
恐れてはいなかった

ゴミ箱をわざとひっくり返して
ぼくはそこで泳いでいた
いつのまにかぼくの体は
魚の鱗に覆われていた

なんでも知ってるよって
周りには言っていた
算数なんかは特に
得意だよって言っておいた


腐った魚の匂いのする部屋で
音楽を聴いていた
閉め切ったカーテンにはすでに
60年代のシミがついていた

生意気なスピーカーがぼくに
狙いをさだめていた
いつのまにかぼくの体は
弾丸まみれになっていた

なんでも知ってるよって
周りには言っていた
ビートルズなんかは特に
得意だよって言っておいた


腐った魚の匂いのする部屋で
将来について考えた
扉が見つからなくなることを
恐れていたのかもしれない

外国のビール瓶が一本
机の上に立っていた
アメリカでいつかは暮らすんだと
とりあえず言っておいた

なんでも知ってるよって
周りには言っていた
ニューヨークなんかは特に
得意だよって言っておいた

なんでも知ってるよって
周りには言っていた
ロサンゼルスなんかは特に
得意だよって言っておいた

人間だったんだ

犬がワンワン吠えている
猫がニャーニャー寄ってくる
男という名の犬と
女という名の猫だった
首輪が僕を絞めている
手綱は誰かが持っている
でも数年前までは僕もたしかに
人間だったんだ

まだ色はちょっと見えている
あの日の傷も残っている
ただあいつとあいつの顔が
ごちゃまぜになって溶けていく
言葉もピエロになってきた
呂律も怪しくなってきた
でも数年前までは僕もたしかに
人間だったんだ

頼むから死んでくれと
言われたことがあったような……
もうその時にはとっくに心が
死んでいたような……
ぜんぶの思い出をなくした
子犬に生まれ変わったような……
でも数年前までは僕もたしかに
人間だったんだ


犬がワンワン吠えている
猫がニャーニャー寄ってくる
男という名の犬と
女という名の猫だった
遠くで誰かが呼んでいる
幻なのはわかっている
でもその昔僕の名前はたしかに
人間だったんだ

戦争ごっこしようぜ!
金貸しごっこしようぜ!
人間のマネをすれば
人間に戻れるかもね
生まれた場所は忘れたよ
名付け親も忘れたよ
でもその昔僕の名前はたしかに
人間だったんだ

ああ、首輪がどんどんどんどん
僕の首を絞めていくんだ
犬用の墓を買っときゃ良かった
犬用保険に入っときゃ良かった
苦しいよって言いたいのに
ワンワンワンしか言えないんだ
ワンワンワンワン
ワンワンワンワン
ワンワンワンワン
ワーン
でもその昔(ワンワン!)
その昔(ワーン!)
その昔僕の名前はたしかに
人間だったんだ
その昔僕の名前はたしかに
人間だったんだ
その昔僕の名前はたしかに
人間だったんだ(ワン!)

おやすみベイビー

意地悪な波の子が横目で
ぼくらを冷やかしている
つまらないキスをした浜辺の
貝殻がダンスしている

夕暮れが泳ぎ出した
海は湯気を立てている
満月が顔を出した
とても申し訳なさそうに

おやすみベイビーまた明日
夜の街はとてもつらいから
あなたは何も見なくていい
朝にはぼくがここにいるよ


コーヒーを飲んでいた子犬が
一晩中吠えている
カーテンを閉め切って
あなたはぼくの歌を聴いている

電線が震え出した
愛情ももつれだした
暗闇で泣いてるのかい?
あなたの景色を見せてくれ

おやすみベイビーまた明日
夜の街はとてもつらいから
あなたは何も見なくていい
朝にはぼくがここにいるよ


今夜あなたが悪い夢を見ないように
ぼくがその手を握っててあげよう

いつかあなたが一人の夢見たいとき
ぼくがその背を見送ってあげよう

おやすみベイビーまた明日
夜の街はとてもつらいから
あなたは何も見なくていい
朝にはぼくがここにいるよ

おやすみベイビーまた明日
朝にはぼくがここにいるよ

冗談好きな道化師のララバイ

病院かもしれない
博物館かもしれない
死体を寝転がしておく
安置所かもしれない
ならば僕はここに寝よう
危険な香りがするけど
命は大切だよねって
君が言うからさ

風が強いから
今日は諦めた方がいい
飛んでいった帽子の行き先で
病気になっちゃうから
笑顔の君の目を
波が流してしまうだろう
こんなに涙が溢れるのは
あの原子炉を冷やすためかもしれない


デマの舞う街を避けて
プルトニウムの海で
君はいつも一人になると
泣いているのを知ってるよ
とっくに壊れていたんだろう
人生に疲れちゃったんだね
でも最後まで黒焦げた指輪
捨てなかったこと知ってるよ

帰る家を失って
電線にぶら下がるだけ
空を君と分け合っている
それで腹は満たされている
公衆電話はダイヤル式で
回せば回すほど
日は沈んでいくのさ
まるであの日のように

嘘だよ ぜんぶ嘘だよ
冗談好きな道化師の嘘だよ
変なショーを見せられたね
今は眠ろうか


踊り狂うのはやめて
ちょっと大人しくしてみた
神様は微かにニヤリと笑うと
何度目かの桜が咲いた
そしてみんな忘れてしまったんだろう
アイドルたちに会うために
百円玉を小さな箱に入れて
満足げに微笑んでいたことを

病院かもしれない
博物館かもしれない
死体を寝転がしておく
安置所かもしれない
でもぜんぶ夢かもしれないだろう
だから僕はここに寝よう
子守唄を君に歌うのさ
冗談好きな道化師のララバイ

透明人間

酒とタバコが得意じゃなきゃ
友達はできないのだ
部屋には人が二人いて
体温はどこにもない
落ち葉でさえもまだ
朽ちたくないと叫んでるよ
秋の冷たい風がなおさら
君を透明人間にしている

プラスチックみたいな性格で
金属のような体つきさ
まるで生き物じゃないみたいに
布団の中で固まっている
早く油を注さなきゃ
錆びて取れなくなっちゃうよ
ロボット工場の匂いがなおさら
君を透明人間にしている

街の景色を炙ってみれば
懐かしい影が浮かび上がる
オバケの演劇を野外の
劇場で見ているかのようだ
調子乗って燃やしすぎちゃって
思い出も灰になっちゃうよ
冬の花火の夢がなおさら
君を透明人間にしている

タンポポやふきのとうに
反射されて春の光がやってきた
キラキラしてまぶしいけれど
きっと出会いも別れもない
春という季節が本当は
幻でしかないことを知ってるよ
見えない春に住んでいる君は
どんどん透明人間になっていく

見えない春に住んでいる君は
どんどん透明人間になっていく

緑の卵

生まれたばかりさ
だけど死にそうだよ
花や太陽の香りも
知らないまま

そうだよ僕は
金の卵ではない
そうだよ僕は
銀の卵でもない
そうだよ僕は
緑の卵さ
そうだよ僕は
腐った卵さ

そりゃ金の卵だっているさ
僕の周りにだって
金や才能もすべて
持ち合わせてる人

そうだよ僕は
金の卵ではない
そうだよ僕は
銀の卵でもない
そうだよ僕は
緑の卵さ
そうだよ僕は
腐った卵さ

忘れられてしまった腐った卵も
そんなに悪いもんでもないよ
臭いからってこっち寄る人もいないし
殻の中は安全だからね

そうだよ僕は
金の卵ではない
そうだよ僕は
銀の卵でもない
そうだよ僕は
緑の卵さ
そうだよ僕は
腐った卵さ

そうだよ僕は
殻を破れない
そうだよ僕は
勇気がなくて
そうだよ僕は
緑の卵さ
そうだよ僕は
腐った卵さ

歌を歌うことはできたのに

一弦はいつも切れていた
二弦も時々切れていた
四弦でもギター
朝から晩まで歌ってた
音程はいつもずれていた
だけど楽しい

ピックを落としたので
歌を歌うことをやめてしまった
ピックなんかなくても
歌を歌うことはできたのに

クリスマスに手編みのマフラー
案外上手に作れた
すごく喜んでくれた
初めてミシンを使った
エプロンはちょっと失敗しちゃった
でも楽しい

マチ針を落としたので
服を仕立てることをやめてしまった
マチ針なんかなくても
服を仕立てることはできたのに

自転車をいつも漕いでいた
どこまでもどこまでも行った
疲れなんて知らない
イージーライダーの気分で
ジェルソミーナに恋をして
やっほー!楽しい

切符を落としたので
旅に出ることを諦めてしまった
切符なんかなくても
旅に出ることはできたのに

石ころ一つで絵を描いた
道は無限の落書き帳
ほらみんな見てよ
授業ノートにも絵を描いた
ここだけは自分の世界だ
楽しい

絵筆を落としたので
夢を描くことをやめてしまった
絵筆なんかなくても
夢を描くことはできたのに

ピックを落としたので
歌を歌うことをやめてしまった
ピックなんかなくても
歌を歌うことはできたのに

一弦はいつも切れていた
二弦も時々切れていた
四弦でもギター

ぼくは心臓で計算をする
だって頭では君を考えている
ぼくはおへそでコーラを飲む
だって口では君とおしゃべりをする
ぼくは背中で星を見る
だって目では君を探している
ぼくは踵で縫い物をする
だって手では君の肌に触れている

あいつは嫌な兵隊さんの顔で
君の影を踏みつけていく
君の影はデリケートなので
すぐボロボロになってしまう
ぼくは道路に注意書きをする
「彼女の影を踏まないでください」
ぼくは日が沈むと安心して
手を繋いでスキップだってしちゃう

夜は、夜だけは二人の時間


あいつは嫌なお医者さんの顔で
君の夢の門を叩いていく
君の夢は複雑な構造なので
すぐ迷子になってしまう
ぼくは門に注意書きをする
「一度入ったら出られませんよ」
ぼくは日が沈むとベッドに座り
君の寝息を聞いている

夜は、夜だけは二人の時間
夜は、夜だけは二人の時間


ぼくは心臓で計算をする
だって頭では君を考えている
ぼくはおへそでコーラを飲む
だって口では君とおしゃべりをする
ぼくは背中で星を見る
だって目では君を探している
ぼくは踵で縫い物をする
だって手では君の肌に触れている

アサガオ

キミ、きれいだね
世の中は汚いね
ボクも汚いよ
キミはきれいだね

夢を見ているかい
外なんて見るなよ
こんな毒だらけの街で
キミを抱きしめることはできない

うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい
うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい

キミ、泣いてるね
あいつらは汚いね
ボクも泣いてるよ
キミといっしょだよ

外がまっくらで
前が見えないときでも
ボクが手を引っぱってあげるよ
ボクが手を引っぱってあげるよ

うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい
うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい

見て、きれいだね
アサガオが咲いてるね
キミは泣いてるよ
アサガオがまぶしすぎて

夢を見ているかい
過去なんて見るなよ
こんな傷だらけの胸で
キミを抱きしめることはできない

キミ、きれいだね
世の中は汚いね
ボクも汚いよ
キミはきれいだね

夢を見ているかい
外なんて見るなよ
こんな毒だらけの街で
キミを抱きしめることはできない

こんな毒だらけの街で
キミを抱きしめることはできない

うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい
うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい

うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい
うつくしい
うつくしい
アサガオよりもうつくしい